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考察

なぜベルギーは日本人選手の登竜門なのか — シント=トロイデンと「入口」の構造

カイ(運営者)公開 2026.07.25読了 約6

2026年夏も、日本人選手の移籍先として最も名前が挙がった国はベルギーだった。シント=トロイデンには石渡ネルソンと荒木遼太郎が加入し、OHルーヴェンは荻原拓也と山田新を迎えた。コルトレイク、アントワープ、2部のパトロ・アイスデンにも日本人選手が渡っている。本サイトの選手名鑑でも、ベルギー1部は単独の国としては最多クラスの日本人選手を抱えるリーグであり続けている。なぜベルギーなのか。この記事では「登竜門」と呼ばれる構造を、実例から整理する。

数字で見るベルギーの存在感

本サイトの名鑑では、ベルギー・プロリーグ(1部)に所属する日本人選手はこの夏の時点で15人を超え、リーグ別で最大のグループを形成している。シント=トロイデン1クラブだけで5人以上が在籍し、ヘント、アントワープ、ウェステルロー、コルトレイクなど複数クラブに日本人選手が散らばる。1つの国のトップリーグにこれだけの日本人が集まる例は、ドイツと並んで他にない。

理由1 — シント=トロイデンという「日本の窓口」

構造の中心にあるのはシント=トロイデンVV(STVV)だ。2017年に日本企業のDMM.comが経営に参画して以来、STVVは日本人選手の受け入れ窓口として機能してきた。言葉や生活面のサポート体制が整い、日本人選手が欧州最初の一歩を踏み出す環境としてのノウハウが蓄積されている。

そのSTVVの「卒業生」リストは壮観だ。遠藤航はここからシュツットガルトへ渡り、いまはリヴァプールの中心選手のひとりとなっている。鎌田大地はフランクフルトでヨーロッパリーグ制覇の立役者になった。冨安健洋はボローニャを経てアーセナルへ。町田浩樹が在籍したユニオン・サン=ジロワーズ、伊東純也が飛躍したゲンク、渡辺剛が主力を務めたヘントまで含めれば、「ベルギー経由で5大リーグへ」というルートは、もはや日本人選手の王道のひとつになっている。

理由2 — 出場機会が得られる欧州であること

若い選手にとって、最初の海外移籍で何より重要なのは出場機会だ。5大リーグのクラブに移籍できても、ベンチにも入れない日々が続けばキャリアは停滞する。ベルギーは欧州の主要リーグと真剣勝負の強度を持ちながら、日本で実績を示した選手が定位置を狙える現実的な競争環境にある。ここで数字を残せば5大リーグのスカウトの目に留まり、残せなければ課題が明確になる。「実力を示す場」として機能していることが、選手側にとっての最大の価値だろう。

クラブ側から見ても、Jリーグで実績のある選手は相対的に手が届きやすく、成功すれば5大リーグへの移籍で利益を生む。選手・Jクラブ・ベルギーのクラブ、三者の利害が噛み合っていることが、この流れを持続させている。

理由3 — 成功例が成功例を呼ぶ

遠藤や鎌田、冨安の成功は、後に続く選手たちの意思決定を変えた。「ベルギーで結果を出せば道が開ける」という前例が積み上がるほど、Jクラブも選手も送り出しに迷いがなくなる。今夏の石渡ネルソン荒木遼太郎の移籍も、この蓄積の上にある。エージェントやクラブ間のネットワークも太くなり、移籍交渉の経路として確立された感がある。

今夏ベルギーに渡った選手たちが、数年後にどのリーグでプレーしているか。それがこの構造の次の答え合わせになる。

用語メモ

登竜門 — 実績を示せば上位の舞台への道が開く、キャリアの入口となる場。ステップアップ移籍 — より競争水準の高いリーグ・クラブへの移籍。プロリーグ(ベルギー) — ベルギー1部リーグの呼称。本サイトでは「ベルギー・プロリーグ」と表記する。

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